行動確認調査とは
行動確認調査とは、対象人物が特定の日時に、どこで何をしていたか、誰と会っていたかなどの具体的な行動内容を、第三者が客観的に調査・確認する手法です。探偵業務においては、社内の不正調査、従業員の勤務実態確認など、幅広い用途で活用されています。
行動確認調査の流れは、依頼内容に応じて調査日時と対象者を事前に特定し、その時間帯に現場で尾行・張り込みを実施します。調査員は、対象者の移動経路、立ち寄り先、接触した人物、交通手段などを細かく観察・記録し、写真や映像により証拠を収集します。調査終了後には、調査報告書として時系列でまとめられ、依頼者へ提出されます。
調査方法には主に以下の技術が使われます
尾行:徒歩や車を使い、対象者に気づかれないよう距離を保ちつつ追跡します。
張り込み:対象者が出てくると予想される場所に先回りし、行動の開始を待ちます。
証拠撮影:特定の行動(第三者との接触など)を証明するため、写真や動画で証拠を押さえます。
行動確認調査は、裁判において強力な証拠となることが多くあります。
対象者の行動の実態を正確に捉え、正当な事実確認を行い証拠として提出する事で相手方の主張を突っぱね、勝訴につながるケースは多々あります。
例えば、精神疾患や身体的不当の休職者が本当に就労不能な状態であるのかを行動確認する事があります。実際に休職中に申請内容と異なり、旅行や運動系イベントに参加している等の証拠を提出した場合、裁判でも「会社が必要かつ相当な範囲で調査を実施した」として調査結果は解雇や処分の正当な理由になり得るとしています。(東京地裁 平成26年2月27日判決(医療法人社団事件):精神疾患で休職中の社員の行動確認調査行い、結果、労働困難が疑わしいとして解雇。その後、本人がプライバシー侵害として損賠賠償請求するが、裁判所は行動確認調査の必要性及び相当性を認め、会社側の勝訴)
但し、長期間、過度の私生活にまで干渉する等の調査を行った場合、社会通念と逸脱するとして違法と判断される事もあります。(東京地裁 平成3年9月20日判決)
なので、行動確認調査を行う事で、本当に解雇や処分の対象にあたる社員であれば、不当解雇として損害賠償請求されたとしても突っぱねる事ができ会社を守れます。ただ、その際には、調査期間や方法、手法など適切な調査を行う事が必要となります。
また、行動確認調査は裁判上の証拠能力だけでなく、訴訟せずに前段階で解決するという事もあり、実際には調査を行ったうえで裁判までいかずして解決する事も多くあります。
社員の副業や情報漏洩、退職後の競業避止義務違反の確認したうえで本人との和解により解決する
労災や傷病手当金、後遺障害や休業損害等の申請に偽りがないか、また正確に認定する為にも事前の調査が有効となります。
様々な労務問題が増加している近年、調査結果が問題の早期発見や防止策の立案につながり、企業の健全な運営を支える重要な手段にもなっています。